B型肝炎ウイルス(HBV)が血液・体液を介して感染し、肝臓に侵入してくる肝臓の病気です。
出産時の母児間感染や、乳幼児期に感染すると持続感染(キャリア)となり、その約10%が慢性肝炎を発症すると言われていました。1986年からはB型の母親の出産時にHBVの感染防止処置が取られるようになり、更に2016年4月1日以降は全ての0歳児にHBVのワクチンが接種されるようになり、持続感染は激減してきています。
HBV陽性で肝機能に問題が無い場合はcarrierとして年2回の肝機能、ウイルス量、腹部超音波検査による発癌のチェックを行っています。肝機能に異常がみられれば慢性肝炎に移行したとして治療を開始します。
HBVの慢性肝炎患者の治療はウイルス量と肝機能にて決まります。一般的に若年者の場合はまずIFN(注射薬)、反応が悪ければと核酸アナログ製剤(内服薬)となります。核酸アナログ製剤は直接ウイルスに作用してHBVの増殖を抑えて肝炎を鎮静化させます。肝機能が正常化しても、自己判断で内服を中止すると、時に肝炎の急性増悪を起こし、 劇症化し肝不全で死に至る場合があります。従って絶対に核酸アナログ製剤を自己判断で中止してはいけません。また、血中からウイルスが消失し、肝機能が正常化しても発癌することがありますので、年2回の腹部超音波検査等のチェックを受けることが重要です。
最近問題となっているDe novo肝炎とは、HBs抗原陰性化し、血中HBV-DNA検出しなくなり、臨床的には治癒の状態と考えられてきたHBV既往感染例からHBV再活性化により発症する肝炎のことです(HBc抗体陽性and/or HBs抗体陽性)。
HBV再活性化のきっかけは骨髄移植や免疫抑制剤(リツキシマブなど)の使用で、de novo B型肝炎は通常の肝炎に比べて劇症化頻度が高いと言われています。