主な肝疾患について
主な肝臓病を列挙しました。同じく肝障害を呈するものにもたくさんの疾患があります。
治療法が全く異なることもあり要注意です。
ウィルス性肝炎
ウイルス性肝炎とは、A、B、C、D、E型などの肝炎ウイルスの感染によって、肝機能障害を引き起こす病気で、日本人に最も多い肝臓病です。
A型、E型肝炎ウイルスは主に食べ物を介して感染し、B型、C型、D型肝炎ウイルスは主に血液を介して感染します。中でもB型、C型肝炎ウイルスについては、感染すると慢性の肝臓病を引き起こす原因ともなります。
脂肪肝炎
肝細胞に中性脂肪が溜まった脂肪肝に、何らかの原因で免疫反応が起こり肝臓に炎症が起こっている状態です。
特に、ほとんど飲酒をしていないにも関わらずアルコールによる脂肪肝炎と似た非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が注目されています。NASHを放置しておくとその後肝硬変へ進展し、肝細胞癌を合併することもあります。
薬剤性肝障害
服用した薬が体に合わなくて肝障害を起こしたものです。これには服用した薬に対するアレルギーで起こるものと、薬の量がある一定量になってからでてくる中毒性のものがあります。従って、薬を飲んですぐに起こる場合と、かなり時間が経ってから起こるものがあります。これらの診断は肝障害のパターンとともに薬剤性肝障害を疑うことが診断のスタートになります。
- 降圧剤・抗生物質他
自己免疫生肝疾患
免疫とは自分と自分でないものとを区別し、自分でない異物が体の中に侵入したときにその異物を排除する体の仕組みのことを言います。ところが、自分の体をこの免疫が攻撃することがあり、その疾患を『自己免疫性疾患』と言い、肝臓がその標的臓器の場合を『自己免疫性肝炎』と言います。
ウイルス肝炎とは治療法が異なり、免疫抑制剤であるステロイドを上手に使うと非常に良い経過が得られることがよく経験されます。従って、診断が極めて重要で、適切な治療を受ける時期が遅れると命取りにもなりかねません。肝臓専門医が一番必要とされる疾患です。
二次性肝障害
- 糖尿病
- 胆石
- 甲状腺
- 心不全
- 膠原病
- 肝腫瘍
肝細胞癌
肝細胞癌は、肝臓の細胞が癌化したものです。肝細胞癌の発生には、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎などによる、肝臓の慢性的な炎症や肝硬変が影響しているとされています。