肝疾患を診る上で避けて通れない疾患です。
肝炎ウイルス感染者などは肝細胞癌のhigh risk groupとされています。特に肝硬変になると発癌率が著しく高くなり、早期発見のためには定期的なチェックが必要です。B型、C型肝炎ではウイルスが消失した後でも発癌する例があり、年2回程度のチェックがウイルス消失後も必要と言われています。また、アルコールや脂肪肝炎などの基礎疾患に発癌してくる例もあります。
肝細胞癌を発見する為の検査としては腹部超音波検査、腫瘍マーカーが一般的で、CTやMRIを適宜追加しています。
腹部超音波検査
約80%の肝細胞癌は 腹部超音波検査で発見されています。
スクリーニング検査としての腹部超音波検査は慢性肝炎では6ヶ月に1回、肝硬変では3ヶ月に1回行います。発癌後は2ヶ月に1回の再発チェックを行っています。超音波検査では1~2cm大の腫瘤として見つかることがよくありますが、超音波検査のみでは肝細胞癌の診断確定できないため造影CTやMRIを撮ることが一般的です。
腫瘍マーカー
肝細胞癌にはAFP、PIVKA-IIの腫瘍マーカーがあります。
これらのマーカーは肝細胞癌への特異性が高く、経過中に増加すれば肝細胞癌が強く疑われます。通常は腹部超音波検査を行ったときに測定しています。これらのマーカーは肝細胞癌治療後の再発チェックでも有用な検査になっています。
CT.MRI
腹部超音波検査で腫瘍が見つかった時や、腫瘍マーカーが増加している時に有用な検査です。特に最近のEOB造影剤を用いたMRIは肝細胞癌の診断、特に早期の肝細胞癌の診断に威力を発揮しています。
造影剤を用いるリスクと、CTでは若干の被爆があるため腹部超音波検査のような日常のスクリーニング検査にはなりませんが、High risk groupの肝硬変や、既に発癌している症例では6~12ヶ月毎に撮ることもあります。
肝細胞癌の治療としては
- 腹部血管造影下肝動脈塞栓療法(TACE)
- 外科的肝切除術・・・・済生会福岡病院外科に依頼
- ラジオ波焼灼療法(RFA) ・・・・済生会福岡病院肝臓内科に依頼
- 経皮的エタノール注入療法(PEIT)・・・・済生会福岡病院肝臓内科に依頼
- 薬物療法・・・・済生会福岡病院肝臓内科に依頼し、免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬を用います。
- 移植・・・・ミラノ基準、または5-5-500基準を満たせば九大2外科に依頼します