肝臓専門医の診方
「沈黙の臓器」肝臓
肝臓はよく「沈黙の臓器」と言われています。
肝臓の働きにはかなりの余力があり、なかなか症状を出さないあるいは気付かないことがよくあります。そのため献血や健診などで偶然見つかることが多いようです。
自分で気づかないうちに病気が進行していき、症状が出て病院へ駆け込んで来た時にはすでに肝硬変や肝臓癌の末期状態になっているといった例もしばしば遭遇します。
第一歩は「診断」から
肝機能障害を診る上で重要なことは、肝障害を起こしている原因を「多分」とか「だろう」で片づけないで、出来る限り検査でしっかりと診断することです。原因がはっきりすればその治療法の選択や、合併症に対するチェックが早い段階から出来るようになります。
例えばウイルス性肝炎によく似たものに自己免疫性肝炎があります。
この疾患では病気の活動性が高まった状態においてはウイルス性肝炎に準じた治療法を行っても全く効果はなく、免疫抑制剤であるステロイドを用いなくてはなりません。
また、健診で見つかる肝機能異常の中で頻度の多いものに脂肪肝があります。
脂肪肝とは肝臓そのものに原因があるため脂肪肝になるのではなく、アルコール・肥満・糖尿病などにより二次的に発症するため、ただ単に慢性肝炎として治療しても一向に改善しません。
脂肪肝の治療というのはその原因となるものを取り除くと言うことになります。
以上のように肝障害の原因の診断をつけることが肝臓病を診る第一歩と思います。
当クリニックの肝臓病の診方
GOT、GPT、γGTPの検査値が高いか低いかではなく、これらのパターンから何が原因かを診断することがスタートです。
そのためには
肝機能検査、各種ウィルスマーカー、自己抗体系などを測定し、肝障害の原因を調べます。
次に、肝臓の働きの予備力をアルブミン、凝固検査(PTなど)
肝臓の形態を超音波検査、CTなどで検査します。
肝臓の形態を超音波検査、CTなどで検査します。
そこで、慢性肝炎や肝硬変といった診断をします。
治療方針を決め、治療目標を定めます。
薬剤投与の必要性があれば最も適した薬剤を決め、経過観察を行います。
合併症のチェックを行います。